撮影:Masakazu Yoshikawa
《お知らせ》
チラシやWEBサイトで告知しておりました公演内容に変更が出ております。
1日(金)19時・2日(土)14時・3日(日)14時の回は梶井作品『愛撫』『檸檬』を、
2日(土)19時・3日(日)19時の回は太宰作品『きりぎりす』・梶井作品『檸檬』を上演いたします。
この変更に伴いまして、予定しておりましたセット券の販売は中止させていただく運びとなりました。
すでにご予約いただいたお客様には、大変ご迷惑をおかけしております。
この件に関するご予約の変更・キャンセルにつきましては、興行元ないしアトリエ劇研までご連絡くださいませ。
ダンス×日本文学をクロスさせたソロダンス作品
今回は梶井基次郎・太宰治の2人の文学作品に挑む!
梶井基次郎の「檸檬」「愛撫」
爆弾にみたてたレモンや、猫耳を切符きりでパチンと切りたいという欲望。
悦楽と恐れ、現実と妄想に揺らぐ、危うい梶井ワールドを。
こまばアゴラ劇場サマーフェスティバル汎にて上演された作品を関西初上演。
そして今回は新作の太宰治の「きりぎりす」も上演。
太宰が描いた一人の女性。
女であること、生きること、結婚、アーティストであることについて自らの視点で捉えダンス作品として生み出す。
[振付・演出]
クリタマキ
[出演]
クリタマキ
[スタッフ]
照明/井坂浩
音響/大園康司
制作協力、撮影/金子愛帆
宣伝美術/児玉悟之
チラシ写真/Masakazu Yoshikawa
3月1日(金)19:00[梶]◆
3月2日(土)14:00[梶]/19:00[太・梶]◆
3月3日(日)14:00[梶]/19:00[太・梶]
[梶]梶井作品『愛撫』『檸檬』
[太・梶]太宰作品『きりぎりす』・梶井作品『檸檬』
◆アフタートークあり
・1日(金)19:00の回
ゲスト:きたまり(振付家・ダンサー)
・2日(土)19:00の回
ゲスト:田辺剛(アトリエ劇研ディレクター)
一般 前売2,000円/当日2,200円
学生 前売1,800円/当日2,000円
※作品の都合上、セット券は廃止となりました。ご了承くださいませ。
・クリタマキ
・http://kuritamaki.blogspot.jp/
・GF8チケットセンター
・アトリエ劇研 075-791-1966(10:00~18:00)
クリタマキについて−「少女」の無邪気さが創る妄想の世界
梶井基次郎の同名の小説をモチーフにしたダンス作品『檸檬』では、その小説のあらすじは説明されない。レモンを片手に持った白いワンピースの女の子は、そのレモンを身体の上で転がし、身体にこすりつけては移った匂いに気分が高揚したりする。その無邪気さがまず印象的だった。一方で、レモンをかじると彼女の様子はおかしくなる。酒に酔ったようにふらつき身体は左右に揺れる。はじめは一個だけだったレモンはいつのまにか舞台に広がるほどの数になる。彼女は先ほどの無邪気さとは一転して、その無数のレモンのなかで狂気じみた勢いで踊り、転がるのだった。ついにレモンは食いちぎられ壁に投げつけられもするだろう。その様子にわたしは唖然としてしまうのだけれど、終始目を離すことができなかった。
そこは梶井の『檸檬』と白いワンピースの女の子とのあいだに湧き起こる妄想の世界だ。その世界の原因は、加速すれば容易に狂気へと転化しうる「無邪気さ」だとわたしは思う。白いワンピースの女の子の無邪気な振る舞いに、その滑稽さも手伝って油断していると、あっというまに彼女の妄想の世界に引きずり込まれてしまう。さまざまにその様子は変化するが、それらすべての変化は白いワンピースの身体だけから生まれ、またその身体に収まっていく。果たしてクリタマキさんが作品を語るのにも、さらにはこのフェスティバルで上演してもらうタイトルにも「少女」という単語が出てくる。少女であることと無邪気でいること。そしてそれらと狂気との淡い境界線。そこにとある文学作品が対峙させられてできる妄想の世界はわたしには新鮮なものに感じられた。
上演されるのは、梶井基次郎の『檸檬』と『愛撫』、そして太宰治の『きりぎりす』を取り上げて、それらに少女(正確には「現代少女」)が挑む作品だという。そのタイトルは単にキャッチーなだけではないはずだ。
アトリエ劇研ディレクター 田辺剛