撮影:竹崎博人
動け!!
もっと!強く!行け!
抱け!!抱き締めろ!!
喘ぐ代わりに泣いてやる。
どんな世界にも、排泄されない糞があるんだよ。
[作・演出]
司辻有香
(「辻」のしんにょうの点は1つ)
[出演]
大熊ねこ(遊劇体)
タケダナヲキ
田中浩之(Will Be SHOCK Entrance Gate)
[スタッフ]
舞台美術/松尾如美
照明/真田貴吉
音響/齋藤学
舞台監督/大鹿展明
宣伝美術/相模友士郎
制作/浅田麻衣
1/19(土)14:00/19:00
1/20(日)14:00/19:00
1/21(月)14:00/19:00
1/22(火)14:00◆
*開場・受付はそれぞれ開演30分前
◆アフタートークあり
1/22(火)14:00の回
ゲスト:田辺剛(アトリエ劇研ディレクター)
一般 前売2,500円/当日2,800円
学生 前売2,000円/当日2,300円
※過激な表現を含みます。
※過激なシーンを含む為、15歳以下のご入場はお断り致します。
※年齢確認の為、身分証明書のご提示をお願いする場合がございます。
・辻企画
・http://tsujikikaku.jugem.jp/
・tsujikikaku_123@yahoo.co.jp
・GF8チケットセンター
・アトリエ劇研 075-791-1966(10:00~18:00)
辻企画について−前作の感想から
前作の『愛−在りか』(作・演出=司辻有香)を観た。
あまりに「わたし」という存在が不確かで、何度も何度も男にわたしを愛しているかと確かめて、そのつど愛していると答えられるがまったく満足できやしない。感情が抑えられずに相手を殴り蹴り、すぐにごめんなさいと相手を抱きしめて許しを乞う。そしてまた愛している?と確かめる。セックスはゴールではなくて、むしろそんなことをしてしまったがゆえに「わたし」という存在の不確かさを知ってしまったのかもしれない。何度セックスを繰り返しても、すでにつねに何かが足りないことを確認するだけになってしまう。救いになんかまったくならない。 執拗になされる女の全身的な問いかけは、受けて立つ男性にも伝播するだろう。きりもみ状態になる二人には、もうどうにもならないんじゃないかと思わされるが、男は最後に自分の部屋へ来ないかと女を誘う。軽い、ほんとに何気ないそのことばが、わたしにとっては閉じた世界から二人を連れ出す奇跡のことばのように思われて震えたし、そこにこの作品が言うところの「愛」を垣間見た気がしたのだ。司辻さんは「わたしという存在の確かさ」を根拠づけるものを「愛」と呼んでいる。それはもはや人間の生死に直接につながっているもので、幻想として片付けるわけにはいかない抜き差しならないものだ。ことばと全身をぶつけ合ってバラバラになった中でふと見つかる微かな手触りと言ってもいい。
それが初めて観た彼女の作品だった。わたしの先輩が彼女のことを演劇に取り憑かれた人だと評したけれども、わたしもそう思う。一方で彼女の作品は頻繁には上演されない。だったら次はこの舞台芸術祭でとわたしはずっと思っていた。その思いが舞台芸術祭のオープニング作品として実現できたことをわたしは誇りに思う。
アトリエ劇研ディレクター 田辺剛