トリコ・A『せりふのないガラスの動物園』7/3(土)+4(日)

 
 
おもに山口茜の劇作・演出で演劇を上演する団体として1999年に設立。京都を拠点に、大阪、名古屋、東京などでも演劇を上演している。2003年12月、『他人(初期化する場合)』で、第10回OMS戯曲賞大賞を受賞。 2007年3月、『豊満
ブラウン管』で、若手演出家コンクール2006最優秀賞を受賞。2007年9月からの2年間、山口茜が文化庁新進芸術家海外留学制度派遣員(フィンランド)に選抜された為、日本での活動を休止。フィンランド滞在中の2007年9月~12月、『豊満ブラウン管』(作:山口茜)の一部が、フィンランド語に翻訳され、フィンランド国立劇場(ヘルシンキ)にて上演された。演出/Juha Mäkelä翻訳/Miika pölkki。2009年9月、山口茜の帰国後より、活動を再開。
 

[日時]

 7月3日(土)+4日(日) 計4ステージ

 3日(土)15:00,19:00

 4日(日)13:00,17:00

[料金]

 一般前売2,500円/一般当日2,800円

    学生(前売・当日とも)1,500円

  *演劇祭「観劇回数券」使用可

【チケットの予約はこちらでできます】


[構成・演出]山口茜

[出演]二口大学

    松本芽紅見

    岩田由紀

    大木湖南

    四宮章吾(悪い芝居)

[舞台監督]清水忠文

[舞台美術]五木見名子

[照明]池辺茜

[音響]奥村朋代

[衣装]南野詩恵

[宣伝美術]堀川高志(kutowans studio)[制作]小林みほ、川那辺香乃

URL]トリコ・A


ディレクター・田辺剛より

 フィンランドの二年間を経て昨秋帰ってきた山口さんだ。久しぶりに観た山口さん自身による演出作品『クリスチネ』(2010年3月)でやはりずいぶんと面白かったのは、山口さんの舞台にいつも現れている「ねじれ」だ。舞台となるアパートの部屋に隣室がある。そこは「とにかくすごく臭い部屋」で、それゆえ劇中も登場人物はほとんど立ち入らない場所だ。段ボールがいくつも置かれ物置になっているのだが、そこには河童や天狗や動物がもの言わぬまま現れては消えたりしている。いわばそこは異世界の空間なのだ。

 わたしが「ねじれ」というのは、その隣の「臭い部屋」が、メインとなる舞台を取り囲んでいるようにしつらえてあることだ。細長い廊下のような部屋がぐるっと一周、舞台を取り囲んでいる。隣の部屋ではあるけれど、登場人物たちがほとんど立ち入らない異世界の空間に日常は取り囲まれ包まれている。「隣の部屋が秘密の部屋」というアイデアそのものはありきたりといえばそうなのだけど、それが物語の世界を取り囲むことで空間の主従を逆転させつつ、もう一つの異世界として見せる演出。「ひねり」と言うと小手先のアイデア・技のような気がして違うと思う。それはヴィジュアルだけでなく、劇の構造や物語そのものまで共振させる力を持つ「ねじれ」だ。そこから想像の世界はいくらでも広がっていく。わたしはその広がりにはじめ軽い目眩を感じるけれど、喜んでその分からなさを楽しむ。ねじれた菓子パンの「くねくね」具合を子どもが不思議そうに好奇心いっぱいで見つめる時の気分と同じだ。そういう楽しませ方に、わたし自身作り手として嫉妬もする。

 『ガラスの動物園』を題材に恋の話をしたい。そしてセリフが無い。この構想にすでにあるねじれがある。「くねくね」したものは不思議で楽しい。今回もそうだ。

トリコ・A:

「もしかして彼はいま、私に恋をしているのではないだろうか」

テネシー・ウィリアムス「ガラスの動物園」の登場人物、ローラをモチーフにした恋の物語。

一方通行の恋。叶うはずが無いのに、叶うかもしれないと、一瞬、心を踊らせてしまった私。

母の様にしがみつく過去も無く、弟の様に見つめるべく将来も無い。

けれど私は今、恋をしている。

恋をすると、時間はとまる。だから広がっていく、

私の美しい、まぼろし。

***

題名の通り、台詞なしで演劇を創ってみたいと考えています。

でももしかしたら、一言だけ台詞言うかもしれません。

これは恋とそっくりです。

彼とは仲が良いけれど、私の気持ちは、口が裂けても言えません。

でももしかしたら、少しだけ言ってしまうかもしれません。

だからぜひ、確かめに来て下さい。私の告白。

*前作『クリスチネ』より/撮影=堀川高志

撮影=堀川高志

撮影=堀川高志