劇作家・演出家・俳優
「複製技術の演劇」を主題にデジタルデバイスや特殊メイクを使用した演劇作品を制作する。昨今は、平田オリザ氏のロボット演劇のロボットオペレーターとしての活動も加わる。本年9月よりアトリエ劇研ディレクター就任予定。
日本演出者協会主催「若手演出家コンクール2007」最優秀賞受賞。2010年度京都市芸術文化特別制度奨励者。利賀演劇人コンクール2012」奨励賞受賞
2013-2014公益財団セゾン文化財団ジュニア・フェロー
神戸芸術工科大学非常勤講師
[作・演出]
あごうさとし
[スタッフ]
ドラマトゥルク/仲正昌樹(金沢大学法学類教授)
舞台監督/浜村修司
照明/池辺茜
音響/小早川保隆
映像/三谷正(PixelEngine LLC.)
メイク特殊造形/原泰英
制作/井上美葉子(ARTCABINET)
7月4日(金) 19:00
7月5日(土) 13:00/16:00/19:00
7月6日(日) 14:00
※各回アフタートークを開催
前売 2,500円/当日 2,800円
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◆お問い合わせ
・あごうさとし
http://www.agosatoshi.com/
・アトリエ劇研 075-791-1966(平日10:00~18:00)
ディレクターより
ベケットの『クラップ最後のテープ』という作品は、記録メディア(テープ)を使った演劇の最初期のものだ。毎年自分の誕生日が来るとテープにその一年の回顧を吹き込むという習慣をもつ老人が、またやってきた誕生日にいつものように回顧を記録しようとするが、気が向いて聞いてみた若い頃の自分の声に苦しい思いをさせられるというものだ。ここで主人公は、苦しい思いをさせられる老人のクラップとされている。けれどもわたしは、もはやこの作品の主人公は記録されたテープの若かりしクラップである方が腑に落ちる。21世紀、親しい友人でも実際に会うよりSNSで会うことが多い昨今だ。生身の身体が不要となることはないのだけれど、その絶対性はすでに揺らめいている。
あごうさんの作品にもそうした思想がある。実際にこの「パサージュIII」は生身の人物は登場しないし、だからこそ、その作品の「複製性」も強いものになっている。わたし個人はそうした現実を前になお身体の生々しさに「ずれ続ける複製」としての演劇の可能性を見いだしていきたいが、その思いを試すほどの大きな刺激をこの作品は与えてくれる。ぜひこの作品の発する問いを多くの方に受けてもらいたい。
アトリエ劇研ディレクター 田辺剛